おすすめレビュー
実は、どころか後輩くんに滅茶苦茶に依存している先輩のお話。アクシデントで一つの布団で一緒に寝ることになり、あまつさえ好意がメーターを振り切って漏れ、そのまの勢いで寝ている後輩くんに愛の独白と告白のダブルパンチを加えつもヤキモキしている愛の重いお姉さんを30分あまりの長尺で楽しめます。
温泉旅館と思しき施設に2人きりで宿泊、という事実が何を示唆するかは当人たちの解釈によって多少違いはあれど、誘うのが私で良かったの.?という問いかけ。後輩くんからの親愛を認知したいがための言葉のからくりですね。冒頭から疑いようのない依存っぷりを発揮していてとても素晴らしい。
お布団に入ってからは耳元で甘く愛を囁かれ続けるわけですが、注目したのは語りの合間に聞こえる音。後輩くん、こーはいくん、と愛を湛えて語りかけながら愛おしそうに撫でたり、身じろぎで衣擦れが起きたり。
これらに踏まえて耳を口で覆うように軽く食んだり、キスをされたりなども相まって先輩の存在感をしっかりと感じられました。
最後に。本作はモノラル音源とのことですが、脚本を始めとして作者様の音へのこだわりとお芝居の表現力でいっそう没入感を高められているように感じ、初めての音声作品という謳い文句に良い意味で裏切られた気分です。バイノーラルの作品とは違った『芝居の妙』を味わうことが出来てとても満足しています。